アブストラクト(33巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胸部及び胸腹部大動脈瘤に対する瘤空置手術の経験
Subtitle : 原著
Authors : 稲田洋, 勝村達喜, 藤原巍, 土光荘六, 元広勝美, 木曽昭光, 野上厚志, 正木久男, 中井正信
Authors(kana) :
Organization : 川崎医科大学胸部心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 4
Page : 477-484
Year/Month : 1985 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 川崎医科大学胸部心臓血管外科では過去4年間に10例の胸部及び胸腹部大動脈瘤に対する瘤空置手術が施行され, 手術死亡を3例に, 術後遠隔死亡を2例に認めた. 本経験より以下の知見を得た. 空置瘤をバイパスする人工血管の径は細過ぎるとバイパス末梢側の臓器血流不全の可能性があるため18mm以上が適当と考えられる. 脊髄麻痺の発生は各種報告に比べ, 今回高頻度であった. 心嚢内を走行したバイパス人工血管に癒着し, 高度の収縮性心膜炎を発生した症例があるので, 心嚢内では可及的にバイパスの経路を短くする必要がある. 瘤の血行遮断用金属性クランプの隣接臓器への接触・圧排により各種症状が発生するので, その位置, 方向には十分注意すべきである. 解離性大動脈瘤に本法を施行する場合, 大動脈遮断部位末梢にentryとreentryの両方が存在すると, 解離腔, 真性腔とも血流が残存し血栓閉塞されないことがある. 瘤が周囲と高度に癒着している炎症性胸腹部大動脈瘤では病変部位を直接操作することの少ない本法が特に簡便で有用である. 空置瘤内に術後早期に血流のリークが認められても, 2ヵ月位で完全に血栓閉塞する可能性がある. 著者らは以上の知見より各種問題点を検討し, 特に手術死亡率の低下を計り, 本法を有用な姑息的手術として, 適応を選んでさらに施行していくつもりである.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸部大動脈瘤, 胸腹部大動脈瘤, 瘤空置手術, carpentierの手術
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