アブストラクト(33巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心刺激伝導系走行の開心下電気生理学的及び組織学的研究
Subtitle : 原著
Authors : 山城敏行, 田宮達男
Authors(kana) :
Organization : 高知医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 4
Page : 491-505
Year/Month : 1985 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : ventricular septal defect(VSD)のSoto分類は, 欠損孔縁を構成する中隔成分の相違を表現するのに優れている. 著者は先天性心疾患の開心下電気生理学的刺激伝導系探査を施行してきたが, そのうち62例をSoto分類を用いて再整理した. 一方, 病理心臓標本21例について連続切片法により刺激伝導系走行を組織学的に検索し, 両者の対比検討を行った. perimembranous inlet VSDにおいては, 欠損孔後下縁中隔頂部に沿い高振幅伝導波をほぼ100%に記録した. 組織学的検索によるbranching bumdleから右脚近位部の欠損孔後下縁中隔頂部心内膜下への表在性走行と一致する所見であった. perimembranous trabecular VSDでは, 右室側欠損孔後下縁での伝導波の記録率は, inlet VSDに比べ低かったが, 欠損孔後下縁左室側ではやや低振幅の伝導波を100%に記録した. 組織学的には欠損孔後下縁でtrabecula septomarginalis(TSM)が, branching bundleを左室側へ偏位させており, 電気生理学的所見を裏づけた. perimembranous infundibular VSD(ファロー四徴症)では, 右室側欠損孔後下縁で伝導波をほとんど検出できなかったが, 同部左室側で高振幅伝導波を100%に記録した. 組織学的にみるとTSMが伝導系を中隔左室側へ偏位させていた. 電極, 伝導系間へのTSMの介在は, 伝導波の検出に対し, 大きな阻害因子をなすものとみられる. Soto分類を用いた伝導系の電気生理学的検討は, 組織学的所見をよく表現していた. 以上より, 各種心奇形の伝導系走行の基本型を念頭に置き, 術中電気生理学的心内記録を通じ, TSMの肥厚程度等の修飾因子を各症例ごとに具体的に検討すれば, より安全確実なVSD閉鎖が可能となるものと確信する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心刺激伝導系, 術中His束心電図, trabecula septomarginalis
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