アブストラクト(33巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 緊急摘出を行った左房内遊離球状血栓(ball thrombus)の1例
Subtitle : 症例
Authors : 栗林良正, 金子兼喜, 猪股昭夫
Authors(kana) :
Organization : 中通病院胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 4
Page : 516-520
Year/Month : 1985 / 4
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 僧帽弁狭窄症で交連切開術の既往を有する72歳の女性が失神発作を主訴に来院した. 心エコー図で, 左房内に遊離球状血栓(ball thrombus)があり, それが時に僧帽弁口に嵌入する所見を得たので, 緊急摘出手術を行った. 術中に, 嵌頓のために循環停止を数回起こしたが, 体を揺することなどにより危機を脱し, 直径3cm, 14gのball thrombusを摘出することができた. 左房内ball thrombusはまれであるが, 極めて高頻度に, しかも早期に突然死や多発塞栓を起こすために, 摘出に成功した例は少ない. それゆえ, 診断がつき次第, 可急的に摘出を行うことが大切である. 僧帽弁狭窄症に左房内血栓が合併することはまれではないが, その中で遊離球状血栓(ball thrombus)は極めてまれである. しかも, 遊離球状血栓は高頻度に突然死や全身への塞栓を発生し, またそれが早期に起こるために生前に診断された例は少なく, 更に, 手術的に摘出に成功した報告例は極めて少ない. 今回, 我々は失神発作を主訴とする女性を本症と診断し, 緊急手術により摘出に成功したので, 若干の考察を加えて報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 左房内遊離球状血栓, ball thrombus, 嵌頓, 緊急手術, 僧帽弁狭窄症
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