アブストラクト(33巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 右上葉切除後, 残存中下葉が軸捻転(torsion)を生じた1例
Subtitle : 症例
Authors : 平田展章, 門田康正, 飯岡壮吾, 中原数也, 三好新一郎, 川島康生
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 4
Page : 521-525
Year/Month : 1985 / 4
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 右上葉切除術後, 残存中下葉の軸捻転(torsion)を起こした症例を経験した. 患者は67歳の男性で, 右上葉肺癌に対し右上葉切除術を施行した. 術後6日目, 血痰・39度の発熱とともに術側下肺野にスリガラス状異常陰影が出現し, 急激な胸水貯留を認めた. 気管支鏡及び気管支造影検査により, B6が後下方に, B8, B9, B10は前方に向かい下葉の横隔膜面が前胸壁に面している所見を得た. これにより捻転角90度の肺軸捻転症と診断した. 診断時には症状の改善がみられ特別な処置を施せなかった. 肺軸捻転症の文献的報告は外国では20例あるが, 我が国での報告はいまだない. 20例中15例には開胸術がなされ, 1例は胸腔鏡下整復術がなされている. 4例は剖検時torsionが発見されており, 一時的症状のみで特別な処置を施行せず生存しているのは本例のみである. 肺切除術後早期の合併症として, 出血・無気肺・肺炎・縫合不全などがある. 残存肺の軸捻転(torsion)も極めてまれながら報告されている.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 開胸術後合併症, 肺軸捻転症(torsion), スリガラス状肺陰影, 血痰, 気管支鏡
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