Abstract : |
肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損症において, その肺循環への血流路として主要側副動脈の存在が注目されている. 主要側副動脈は胸部下行大動脈から起始し肺動脈末梢に直接連絡しているが, 多くは肺の一部しか灌流せず, それ自体十分な血流を供給していない. 著者らは多くの症例で, 主要側副動脈が肺門部を走行すること, またこの部までかなりの太さを有することに着目し, 極めて低形成肺動脈を有する本症の3例を対象にして, 2例に左肺門部肺動脈とそれに伴走している主要側副動脈を側々に吻合した. 術後の症状の改善は著しく, 術後の心臓カテーテル検査で, ともに肺動脈の発育は良好で, 肺高血圧も認めなかった. 本術式の長所として, 1)術式が容易である. 2)吻合口の大きさが調節できる. 3)吻合部狭窄や屈曲がおこらない. 4)肺動脈の発育が良好である. などが挙げられた. 心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖症には, その大部分に大動脈騎乗があることから, これをextreme tetralogy1)などと呼び, また動脈幹(truncus)が1本であるという考えから偽性動脈幹症(pseudotruncus arteriosus)2)などとも呼ばれてきた. |