Abstract : |
下肢静脈血栓症に続発する肺塞栓症の再発予防手術として, 従来より下大静脈結紮術や下大静脈部分遮断術などの下大静脈直達手術が行われてきた. 最近我々は抗凝固療法にもかかわらず肺塞栓を繰り返した2症例に対しMobin-Uddin vena cava umbrella filter(Model 7321, 直径28mm, 以下M-U filter)を下大静脈内に留置した. 症例1は55歳, 男, 急性心筋梗塞後17日目に肺塞栓を発症し, 抗凝固療法にもかかわらず, 肺塞栓を繰り返した. そこで, 両下肢静脈血栓を確認後右内頸静脈よりM-U filterを挿入し, 腎静脈直下の下大静脈内に留置した. その後肺塞栓の再発をみていない. 症例2は33歳, 男, 4年前より両下肢静脈血栓症に続発した肺塞栓症に対し, 抗凝固療法をうけていた. しかし, 繰り返す肺塞栓のため, 肺高血圧症及び右心不全を起こした. 同様にM-U filterを挿入留置後, 肺塞栓の再発を予防できた. 局所麻酔下に挿入でき, 血行動態にも急変を示さず, 再発予防にも優れたM-U filter留置法は, 肺塞栓再発予防法として第一選択の術式と考えられた. |