アブストラクト(33巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 幼小児期肺切除例の遠隔期の肺機能
Subtitle : 原著
Authors : 野々山明, 田中一穂, 香川潔, 大本一夫, 梅本真三夫, 辰己明利, 斉藤幸人, 大迫努, 小谷澄夫, 香川輝正
Authors(kana) :
Organization : 関西医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 6
Page : 818-824
Year/Month : 1985 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 10歳以下の幼小児期に肺葉切除を行った20例のうち12例に術後遠隔期(4ヵ月~13年, 平均5年5ヵ月)に肺機能検査を行った. 12例の手術時年齢は1~5歳未満6例, 5歳以上6例で, 切除された肺葉は右上葉2例, 右中葉1例, 右下葉5例, 左上葉2例, 左下葉2例であった. 遺残病変がなく, 検査施行時年齢が7歳以上で術後6ヵ月以上を経過した9例では, 肺活量(VC)は切除後の肺残存率から計算した予測値より増加し, %VCは上葉切除例で82%前後, 下葉切除例で90%以上を示す例が多かった. 全肺気量(TLC), 機能的残気量(FRC)は残存肺量にほぼ相応した値を示した. 肺残存率に比してのVC, TLCの増加は, 上葉切除例より下葉切除例で著明であり, 両者間に有意差がみられた. 残気率はいずれの例でも低値で残気量(RV)の増加はみられず, 過膨張は生じていないと考えられた. 7歳未満の2例でも, 残気率がやや高値を示す以外, 同様であった. また, 1秒率(FEV1.0%)は79.2%の1例を除き11例とも82%以上あり, flow-volume曲線及びclosing volumeも術後経過期間が6ヵ月前後と短かった2例を除き正常範囲内であった. この2例ではflow at 25%VC(V25)が低値, V50/V25が高値, closing volumeが高値を示したが, CV/FRCは50%以下であった. 肺血流シンチグラフィの左右肺血流分布比測定でも, 術側では切除量にほぼ相当するか, 又はそれ以上の血流分布をみ, 肺気量分画の測定結果と一致するのが認められた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 幼小児期肺切除, 遠隔期肺機能, 小児肺機能検査, 肺血流シンチグラフィ
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