アブストラクト(33巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 同種同所心肺移植手技の検討
Subtitle : 原著
Authors : 神吉豊, 中村昭光*, 和田行雄, 門脇政治, 北浦一弘, 白方秀二, 大賀興一, 中路進*, 岡隆宏, 橋本勇*
Authors(kana) :
Organization : 京都府立医科大学第2外科, *京都第1赤十字病院
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 6
Page : 832-839
Year/Month : 1985 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心肺移植は, Shumwayを中心とするStanford groupにより精力的に進められ, 1981年3月に臨床第1例目をみるに至り, 現在では世界で40例近い臨床例が報告されている. 我々も1982年10月より雑種成犬36頭及び, 日本猿21頭を用い, 計20回の心肺移植を行い, 手術手技上の問題点につき検討した. 1. cardioplegiaを用いた群の方が, 4℃生食単純浸漬法を用いた群よりも, 満足すべき血圧を得られる頻度が高く, 臨床応用を考えてみても心肺保護法の確立が望まれる. 2. donor, recipientともpericardiectomy後に心肺の剥離を行うと心臓が生理的位置より極端にずれ, 循環動態の悪化につながるため, pericardiectomy前に十分に剥離を行う方が望ましい. 3. 剥離面, 特に後縦隔からの出血がcritical pointの1つと考えられ, この部の出血を最小限に留める工夫が必要と考えられる. 4. 移植に際し, 吻合順序は, 気管, 大動脈, 右房とするよりも, 気管, 右房, 大動脈の順の方が手技上も容易で出血も少ない. 5. graftの肺をinflateする場合, overinflationを避け, 10cmH2O内外の圧でinflateした群の方が肺水腫の発生頻度が低い. 6. donor, recipient間に気管口径差があることが多く, 長期予後を左右するair leakageを来すことがあり, 気管吻合に際しては膜様部より開始し, この部分で吻合のdiscrepancyを可能な限り少なくすることがair leakage防止に有効と考えられる. 7. 雑種成犬群, 日本猿群とも, 全例体外循環離脱不能であったが, 上記のような手術手技上の工夫を施こすことによって, 満足すべき血圧の得られる症例が増加した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 同種同所心肺移植手技, 剥離, 吻合順序, 後縦隔からの出血, 気管吻合
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