アブストラクト(33巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 傾斜円板型人工弁による僧帽弁置換症例における術後弁機能と左心機能に関する研究 ―超音波検査法による検討―
Subtitle : 原著
Authors : 前田雅道, 武内敦郎
Authors(kana) :
Organization : 大阪医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 6
Page : 840-853
Year/Month : 1985 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 僧帽弁置換術術後, 適切な患者管理を行うため, 弁機能・左心機能の追求は必須である. 本研究では断層心エコー図法の特長をいかし, これらの推移について検討を加えた. 傾斜円板型人工弁による僧帽弁置換術症例34例を対象とした. 断層心エコー図観察下に人工弁ディスクエコー図を記録した. 各正常値は, A2-MVO時間:89±19msec, 開放時弁振幅:0.86±0.18cm, 閉鎖時弁振幅:0.91±0.19cm, 開放時間:27±7msec, 閉鎖時間:17±7msec, 開放速度:33.2±9.0cm/sec, 閉鎖速度:61.0±2.0cm/secであった. 各パラメーターを人工弁のサイズ別, 心拍数別, 追跡時期別に検討した結果, A2-MVO時間はほぼ一定の値を示す傾向にあり, 閉鎖時弁振幅は開放時に比べて大きいことが多く, 閉鎖時間は開放時間に比べて短く, 閉鎖速度は開放速度の約2倍であった. ディスクエコー図のパターン分類を試み, 弁運動は, typical, atypical, abnormalに分類され, 前二者は正常弁機能を, 後者は弁機能異常を示すものと考えられた. また左室Mモード心エコー図より左心収縮期機能・拡張期機能を検討した. MS例では収縮期機能への影響はほとんどみられず, 数年を経て改善する傾向を示した. MR例では術後収縮期機能の低下が著明で, 1年以上持続し, その後再び術前値に復する傾向を認めた. 拡張期機能の変化はMS例のRFTにおいて顕著であった. 連合弁膜症例では, 一定の傾向はみられなかった. 2-DEによる弁機能・左心機能の追求は, 心室中隔が奇異性運動を示す例でも可能と思われた. また真の左心機能の改善については更に長期間の追跡調査に基づき, 判断する必要があると思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 僧帽弁置換術, 断層心エコー図, 人工弁ディスクエコー図, 左心収縮期機能, 拡張期機能
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