アブストラクト(33巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術後急性期における血管外肺水分量に関する研究 ―二重指示薬希釈法による測定―
Subtitle : 原著
Authors : 増田政久, 奥井勝二
Authors(kana) :
Organization : 千葉大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 6
Page : 860-872
Year/Month : 1985 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術後の間質性肺水腫の早期発見, 予防の目的で, 熱とICGを用いた二重指示薬希釈法(以下二重希釈法)による血管外肺水分量(Extravascular Lung Water, EVLW)測定の有用性を実験的に確認した. 更に同方法を用いて, 開心術前後におけるEVLWを測定し, その動態について検討を加え以下の結論を得た. 1. 実験的検討では, 二重希釈法によるEVLW値は, 摘出肺乾燥重量法によるEVLW値と良好な相関を示し(r=0.89), 測定比も1.09±0.31(二重希釈法/乾燥重量法)と良好であった. 2. 低心肺機能を有さない正常例の麻酔導入後のEVLW値は, 6.24±1.03ml/kgであったのに対し, 僧帽弁疾患群は, 10.69±3.21ml/kgと有意に高値を示した(p<0.05). 3. 術前のEVLW値は, NYHA重症度分類と良い相関を示した. 4. 術直後のEVLW値は, 体外循環前値に比し, 有意に低値を示した(p<0.05). 5. 人工心肺灌流時間は, 体外循環前後のEVLWの変動に影響を及ぼさなかった. 6. 心肺機能の各指標単独値より, 開心術後急性期のEVLWの変動を予測することは困難であった. 但し, Δ(PCWP-COP)の変動によりΔEVLWの変動を予測し得る時期もあり, いわゆるdynamic edemaの機序に基づく変動と思われた. しかし, 経過とともにその予測は困難となり, EVLWの変動が単に, 毛細管と間質間の圧差によって想定はれていないことが示唆された. 従って, EVLWを直接測定し, 変動を知ることは, 術後の肺水腫発現を予測するために, 有意義であると思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 開心術, 間質性肺水腫, 血管外肺水分量, 二重指示薬希釈法, Δ(PCWP-COP)
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