アブストラクト(33巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 僧帽弁膜症術後急性期における血管外肺水分量の検討
Subtitle : 原著
Authors : 黒田弘明, 佐々木成一郎, 石黒真吾, 浜崎尚文, 畑沢幸雄, 荒木威, 原宏, 森透
Authors(kana) :
Organization : 鳥取大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 6
Page : 878-883
Year/Month : 1985 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 血管外肺水分量(EVLW)を開心根治術症例49例を対象とし, 術後急性期の24時間の間測定した結果, 術後24時間での値は僧帽弁膜症例で9.80±2.72ml/kg, 僧帽弁病変のない症例で7.06±2.34ml/kgと僧帽弁膜症例で高く, また, EVLWは全経過を通じて僧帽弁膜症で有意に高値を示した. 僧帽弁膜症例と僧帽弁病変のない症例との違いは, 僧帽弁膜症例で, 心拍出係数が低く, 肺動脈平均圧, 左房平均圧, 肺血管抵抗係数が高く, 心肺循環動態が, 悪い状態にあることであった. そこで, 循環動態とEVLWとの直接の関係をみると, 心肺循環動態の悪い状態ほど, ELVWが高いという関係が認められた. 更に, EVLWが増加した状態での呼吸機能は, AaDO2との関係は明らかでなかったが, 全肺胸郭系dynamic complianceが低下していることが認められた. すなわち, 心肺循環動態の悪化は, EVLWを増加させ, 肺胸郭系のcomplianceを低下させるという機序が推察された. これらのことから, 僧帽弁膜症術後急性期は心機能及び呼吸機能の予備能という点において, 低い状態にあることが示された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 血管外肺水分量, 僧帽弁膜症, 開心術後急性期, 心肺循環動態, 呼吸機能
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