Abstract : |
ラジオアイソトープ(RI)を用いた肺の局所機能評価はその有用性が認められ, 次第に諸施設で施行されてきているが, いまだ各肺葉別の機能を数量的に表すまでには至っていない. そこでRIによる肺の側面像シンチグラムをコンピュータで画像処理を行い, 一側肺側面像を表現し, 各肺葉別の局所機能評価を試み, 肺切除患者の術後呼吸機能予側に応用した. 99mTc-Macroaggregated albumin肺血流シンチグラフィー(以下99mTc-MAA肺シンチ)による肺側面像において, 一側側面に対する近位肺と遠位肺の影響を計算すると, およそ1:0.3となった. 実際に肺動脈にカテーテルを挿入し, 一側肺のみの血流シンチを行ったところ, 計算に一致する値(平均0.313, 標準偏差0.037)を得た. 肺葉切除を予定している肺癌患者43例に, 99mTc-MAA肺血流シンチを行い, 上述の理論に基づいて画像処理を行い, 患側側面における健側肺の影響を消去し, 患側肺のみの側面像とみなし得る肺血流分布像を表現することができた. 対象症例には術前呼吸機能検査を行い, 下記の式に基づいて術後呼吸機能予測を行った. 術後呼吸機能予測値(FVC, FEV1.0, MVV)=術前実測値×(1-患側肺血流比×側面処理像における切除肺葉の血流比)この予測値と術後1ヵ月目及び4ヵ月目の実測値を比較すると, いずれのパラメーターも良い相関を示した(r=0.82~0.87, p<0.001). 肺のRI側面像を画像処理することにより腫瘍などによる肺局所変化を鋭敏に表現することができ, 更に肺葉切除患者の術後呼吸機能予測に応用することができた. |