アブストラクト(33巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 局所熱希釈法による一側腎静脈血流量測定の研究 ―体外循環中の腎血流量測定について―
Subtitle : 原著
Authors : 佐藤良智*2, 江口昭治*1
Authors(kana) :
Organization : *1新潟大学医学部第2外科, *2長岡赤十字病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 7
Page : 989-1002
Year/Month : 1985 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 臨床例を対象に, 体外循環中の腎血流量を局所熱希釈法により測定した. 1. 臨床応用に先立ちモデル回路実験で本法の信頼性に検討を加えた. a)本法から得られた算出流量と実測流量との相関は, r=0.9989(p<0.005), 再現性はr=0.9974(p<0.005)と極めて良好であった. b)算出流量(x)と実測流量(y)との間にはy=0.78x+27.41の直線回帰式が成立し, 臨床応用への妥当性及び有用性を確認した. 2. 成人開心術症例10例を対象とし, 体外循環前, 中, 後の腎血流量(一側)を測定し, 体外循環中の腎血行動態と腎機能の推移について検討した. a)体外循環中の腎血流量は灌流指数が低値の例では減少する傾向を示したが, 有意な変化を認めなかった. しかし, 体外循環開始直後の灌流圧が50mmHg以上の症例では全例腎血流量は増加し, 50mmHg以下の症例では, 開始前値328.5±84.4ml/分より, 開始後10分で有意に減少し, 30分後に295.4±86.4ml/分へと減少した(p<0.05). b)体外循環中のα-blocker(phentolamine 0.2mg/kg)の投与により腎血流量は増加し, 腎血管抵抗も低下した. c)体外循環中, 腎血流量が増加した症例群では, クレアチニン・クリアランス(Ccr)の低下を認めず, 尿量も一定して高値を保った. しかし, 腎血流量が減少した群ではCcrの低下は著明で回復も遅延する傾向にあった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 開心術, 腎血流量, 局所熱希釈法, 灌流圧, 腎機能
このページの一番上へ