アブストラクト(33巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Large aorto-pulmonary collateral arteryを伴う偽性総動脈幹症 ―根治手術の適応とcollateral arteryの処理について―
Subtitle : 原著
Authors : 松田暉, 広瀬一, 中埜粛, 島崎靖久, 白倉良太, 岸本英文, 小林順二郎, 小川實*, 有沢淳**, 川島康生
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科, *大阪大学医学部小児科, **大阪大学医学部放射線科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 7
Page : 1008-1016
Year/Month : 1985 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : Pseudotruncusすなわち心室中隔欠損(VSD)+肺動脈閉鎖においては, large aorto-pulmonary collateral artery(LAPC)を伴うことが多く, この場合の根治手術の適応及び, 手術に際してLAPCをいかに処理するかはいまだに問題として残されている. 根治手術時に胸骨縦切開のみで, 側方開胸を加えずにLAPCを結紮する方針をとった昭和55年以降, これまで7例に対し根治手術を行った. 6例がpseudotruncusで, 1例が両大血管右室起始症であった. 手術時年齢は1歳から20歳(平均7.2歳)で, 初回手術として短絡手術を3例に行った. LAPCの数は1人当り1~3本(平均1.7本)でarborization abnormalityを4例に認めた. 術前カテーテル検査でQp/Qsは0.35~2.84(平均1.49), PAarea Index(PAarea/N-RPAarea)は0.28~0.60(平均0.47)で, 肺高血圧を4例に認めた. 全例external conduit手術, VSD閉鎖, LAPCの結紮を行った. LAPCは後心膜ないし縦隔肋膜を切開し, 体外循環前ないし開始後に到達し結紮した. 第1例を不適切な結紮による肺出血にて失った以外手術死亡はなかった. 1例にLAPCが残存し, 術後心不全, 呼吸不全が強く, 術後4日目にtranscatheter embolizationを行った. 遠隔死亡は2例で, ともに1歳で手術を行った例で, 肺炎によるものであった. 術後早期にはarbolization異常を伴うものではPO2の低下, PCO2の上昇をみることが多かったが, 臨床的に肺梗塞の発生を示す所見はみられなかった. 術後管理法として, 色素希釈法による左右別心拍出量測定は有用で, シャント率40%以上の1例がembolizationを要した. LAPCを伴うpseudotruncusではPAarea Index 0.20以上, 肺高血圧例ではQp/Qs>1.0等が根治手術の条件になり, LAPCは原則として同時に結紮するのが望ましいと考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 偽性総動脈幹症, 巨大側副気管支動脈, arborization異常, conduit手術, 肺動脈閉鎖症
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