アブストラクト(33巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術後の再生不良性貧血様劇症病変
Subtitle : 原著
Authors : 井野隆史, 安達秀雄, 鰐渕康彦, 古田昭一, 高梨利一郎*, 島峰徹郎*, 村中正治**
Authors(kana) :
Organization : 三井記念病院循環器外科, *三井記念病院病理, **東京大学医学部物療内科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 7
Page : 1043-1050
Year/Month : 1985 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術後2週間前後に発熱, 紅斑で発症し白血球減少から急速に汎血球減少症となり, 骨髄の著明な低形成を来し, 敗血症ショックで死亡した再生不良性貧血様劇症病変の4症例をここ2年間に経験した. これらの臨床像, 原因については不明なことが多く, 臨床像, 病態, 病因及び治療法について検討した. 4症例の年齢は60~72歳で, 手術術式はMVR:2例, AVR:1例, 右室悪性腫瘍切除及びTVR:1例であった. 後者の1例は重篤な心不全のため救急手術を行い, 術後もICUから退室できなかった重症例であったが, 他の3例は待機手術で, 術後経過は発熱出現時までは順調な症例であった. 発熱は術後10~13日目にあり, それとほぼ同時期に紅斑が出現し, 全身に拡大した. その後3~4日以内にまず白血球数の減少を来し, 次いで血小板, 赤血球も減少し, 汎血球減少症となった. 骨髄の所見は赤芽球, 顆粒芽球, 巨核球とも著明な低形成を示した. 薬剤アレルギーによる再生不良性貧血を考え, 原因と思われた薬剤の投与を中止し, 顆粒球輸血, ステロイド投与, 抗生剤の予防的投与を行ったが, 4例とも感染を併発し, 敗血症ショックで術後18~35日目に死亡した. これらの病因として薬剤アレルギーがもっとも疑われたが, どれも確証はなかった. 開心術後2週間前後に, 発熱, 紅斑が出現した場合には, このような再生不良性貧血様病変の可能性も考慮し, 原因となり得る薬剤の投与を早めに中止し, 感染の合併防止に努める必要がある.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 再生不良性貧血, 薬剤アレルギー, 汎血球減少症, 顆粒球減少症, 術後紅皮症
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