アブストラクト(33巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 左前下行枝起始異常を伴う大動脈弁閉鎖不全症の1手術経験例
Subtitle : 症例
Authors : 山元博, 夏秋正文, 伊藤翼, 渡辺健介, 宮本忠臣, 湊直樹*
Authors(kana) :
Organization : 佐賀医科大学胸部外科, *筑波大学附属病院外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 7
Page : 1086-1090
Year/Month : 1985 / 7
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 冠状動脈起始異常例は, まれな先天性奇型といわれているが, 我々の教室では, 大動脈弁閉鎖不全症と右冠状動脈洞から細い交通枝を介して左前下行枝が起始する左前下行枝起始異常を伴う50歳男性に対して大動脈弁置換術とACバイパス術を行った. 術中, 左冠状動脈洞の位置に左回旋枝に行くと考えられる小さなorificeと右冠状動脈洞には, 3つのorificeがあり, 通常の冠灌流カニューレでは, 選択的冠灌流が不可能であった. そのため, 最初に左前下行枝に吻合した静脈グラフトより選択的冠灌流を行うことにより心筋保護を行い, 生体弁による大動脈弁置換術を施行し, 術後経過は良好であった. このように, 左前下行枝起始異常を伴う大動脈弁閉鎖不全症に対して心筋保護を行う上でACバイパス術が有効であった症例を経験したので, 冠状動脈起始異常の外科的意義を検討した. 近年, 冠状動脈造影施行症例の増加に伴い, 冠状動脈の奇型例はしばしば発見されているが, 多様の種類があり臨床的に重要な意味を持つものも少なくない.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 冠状動脈起始異常, 大動脈弁閉鎖不全症, ACバイパス術, 心筋保護
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