アブストラクト(33巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心臓ペーシング時における血行動態及び心筋代謝に関する実験的研究
Subtitle : 原著
Authors : 柿本祥太郎, 武内敦郎
Authors(kana) :
Organization : 大阪医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 8
Page : 1173-1181
Year/Month : 1985 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心臓ペーシング時における血行動態と冠循環, 及び心筋代謝との関連性を検討するために実験的研究を行った. 実験動物は雑種成犬24頭で, 心房ペーシングと心室ペーシング, また心房ペーシングと心房心室順次ペーシングとを比較検討した. 心房ペーシングと心室ペーシングの比較では, 心房ペーシングが正常心, 虚血心ともに血行動態的に優位であり, 虚血心における心室ペーシングが最も不利であった. 心房ペーシングでは心仕事量の増加に伴って心筋酸素消費量が増加し, これに対応して冠血流も増加して良好な心筋代謝が行われるのに対して, 心室ペーシングではおもに冠灌流圧の低下によって十分な冠血流が得られないために酸素摂取率を増加させざるを得ない状態になると考えられた. しかしながら心室ペーシング時のエネルギー代謝に応じきれない場合には, 心筋代謝に悪影響を与えることになる. すなわち, 乳酸摂取率は心室ペーシング時に減少し, 特に虚血心において著明であり, なかには乳酸産生に傾いて嫌気性代謝の進行を示唆する例もみられた. また左室心筋仕事効率は, 心房ペーシング時には心室に比し高値を示し, より生理的な状態で効率の良い仕事が行われていることを表していた. 心房ペーシングと心房心室順次ペーシング間では, 血行動態的にも心筋代謝面からも有意差は認められなかったが, 非生理的な心室収縮様式が何らかの悪影響を与える可能性のあることは否定できない.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心房ペーシング, 心室ペーシング, 心筋代謝, 冠静脈洞血流量, 乳酸摂取率
このページの一番上へ