Abstract : |
成人後天性弁膜症45例に対し心プールシンチグラフィー(ファーストパス法)を施行し, 手術前後の左心系の血行動態を減衰度“S”とし左房, 左室, 上行大動脈での減衰度をそれぞれSLA, SLV, SAOで表して比較検討した. また心臓カテーテル検査, 心血管撮影から得られた諸指標値とも比較検討した. 僧帽弁狭窄症でSLAと肺動脈拡張終期圧の間に負の相関を認め(r=-0.71), 肺動脈楔入圧が21mmHg以上は20mmHg以下に比べ有意に低値を示した(p<0.05). 僧帽弁閉鎖不全症でSellers分類III及びIV度はI及びII度に比べ有意にSAOが低値を示した(p<0.001). 大動脈弁閉鎖不全症でSellers分類IV度はIII度に比し有意にSAOが低値を示した(p<0.05). またSLAと左室拡張終期圧の間に負の相関(r=-0.85), SLAと肺動脈楔入圧の間にも負の相関(r=-0.95)を認めた. 以上の結果より, 心プールシンチグラフィーによる減衰度測定は後天性弁膜症の手術適応の判定を含め, 手術前後の経過観察に対し非侵襲的で反復が容易な有用な方法であると考えられた. |