| Authors ： |
伊波潔, 古謝景春, 大嶺靖, 城間寛, 池村冨士夫, 国吉幸男, 上里忠興, 喜名盛夫, 屋良勲, 草場昭 |
| Abstract ： |
我々は術前, 術中, 術後を通して血液成分を一切輸注しない完全無輸血開心術症例(無輸血群)42例の肝機能, 腎機能, 血色素量(Hb)及び血清総タンパク量(TP)の術後推移を検索し, 輸血施行開心術症例(輸血群)42例と比較検討した. 肝機能に関しては, 輸血群の酵素活性は無輸血群に比べ高値を示す傾向にあり, 特にLDHは輸血群において有意に高値を示した. また腎機能に関しては両群間に大きな差はみられなかったが, 術後1週目に輸血群において一過性のBUN上昇がみられた. 血色素量, 血清総タンパク量に関しては, 無輸血群で術後1週目にHb11.8±1.6g/dl, TP6.7±0.6g/dlと低下がみられたが, 術後1ヵ月目には回復し, 無輸血による幣害はみられなかった. 完全無輸血開心術は, 血液節減はもちろんのこと術後肝機能, 並びに腎機能を庇護する上からも有利であると考えられ, 症例を選択すれば弁置換術並びにA-C bypass術などの重症例への適応拡大も可能であるが, その適応には慎重であるべきと考える. |
