Abstract : |
Fallot四徴症に対する短絡手術が第一期手術としてどの程度の効果と問題点を有するかについて検討した. 1978年1月から1983年3月までのFallot四徴症(TOF群)9例及びFallot四徴症兼肺動脈閉鎖症(TOF+PA群)13例の短絡手術前後における肺動脈発育度(PA-index)の変化を計測した. 術後PA-indexは術前に比しTOF群では短絡側226±72.6%, 対側173±26.0%両側で186±36.9%となり, TOF+PA群では短絡側228±131.9%, 対側113±45.5%, 両側で144±32.2%の増加を示した. また, 術前後のPA-indexをそれぞれX, YとするとTOF群の短絡側ではY=2.28X-3.74, r=0.9289, 対側ではY=1.61X+6.32, r=0.9277, 両側ではY=1.87X+1.49, r=0.9378の相関を認めた. TOF+PA群では短絡側での相関は認められなかったが対側でY=1.33X-5.38, r=0.8385, 両側でY=1.28X+18.92, r=0.8402の相関を認めた. TOF+PA群では1歳未満時に手術を施行した群の方が術後PA-indexは対側でも増加し肺動脈変形も小さい傾向にあり, その後Rastelli手術に至った例も多かった. 両側短絡手術は臨床症状の改善度は大きかったが肺動脈発育効果は小さく弊害もあった. 第一回短絡手術後Rastelli手術に至った症例は3例で対側短絡手術や姑息的右室流出路再建術を必要とした症例は8例であった. 短絡手術による肺動脈発育効果は主に術前からの潜在的な肺動脈発育能力に左右され, それは右室流出路閉鎖の有無及び年齢により変化すると考えられた. |