Abstract : |
僧帽弁狭窄症における弁下組織の変化の程度と手術術式を検討した. 対象は最近3年間に教室で手術した純型僧帽弁狭窄症70例で39例にOMC, 31例にMVRが行われた. 弁下組織の変化は, Sellors I型18例, II型28例, III型24例である. これらの症例に心エコー法を用いて, 弁下組織の変化の程度を, 術前術後の臨床経過と左心機能改善状態から比較検討した. その結果, 1. 術前の心臓カテーテル検査では病変の程度による差はなかった. 2. 術後カテコラミン使用量, 使用率には, 弁下組織の変化の程度や術式による差はみられなかった. 3. 超音波断層検査による術後左心機能には弁下組織の変化の程度及び術式による差はみられなかった. 4. 術前Dpm, Dpm indexは実際の弁下組織の変化の程度を反映するとはいえなかった. 5)僧帽弁の機能的弁口面積を反映するよい指標といわれるAEIは, Sellors I型のOMC症例と, Sellors II, III型のMVR症例では術後一貫して良好な値が得られたが, Sellors II型のOMC症例では術後もAEIは改善しなかった. 以上より, Sellors I型MSにはOMCが, Sellors II, III型MSにはMVRが望ましい術式であろうと考えられた. |