| Authors ： |
山口眞弘, 今井雅尚, 大橋秀隆, 細川裕平, 橘秀夫, 伊東宏*, 青垣内龍太**, 宮下勝**, 松田昌三**, 中村和夫** |
| Abstract ： |
小児のTF根治術45例を開心術補助手段によりI群：軽度低体温, 電気的心室細動(EF)+intermit. Ao. clamp法, II群：中等度低体温, GIK cardioplegia(CP)+心局所冷却(TC)法, III群：高度低体温, CP+TC法の3群(各14, 16, 15例)に分け, 心筋保護面からの比較検討, 並びにII群死亡例における左右心筋の病理学的検討を行った. 体外循環時間はI<II, III群, Ao. clamp時間はI<II<III群の有意差がみられた. Ao. declamp直後の自己心拍出現率は各群それぞれ28.6, 50, 73.3%で, 術後9～12時間の右心係数はIII群で最も良好であった. 術後のイソプロテレノール最高投与量はIII群で有意に少量で, 術後72時間の平均尿量はI<II<III群の有意差がみられた. MB-CPK最高値はII群に比しIII群で低値であった. 手術死亡率は各群それぞれ14, 19, 0%でIII群で良好であった. II群の死亡3例の病理検索では, 右室心筋に急性酸素欠乏並びに循環不全の多彩な病像がみられたが, 左室心筋の病変は右室心筋に比べて軽微であった. 結論：(1)TF根治術においては, 肥大した右室心筋の保護がより重要である. (2)心筋へのnon-coronary flowによる心停止液のwashout, 多量のbronchial returnによる心筋温の上昇, 右室が前面にあり冷えにくいことなどから中等度低体温下のCP+TC法は信頼性に乏しく, 軽度低体温, EF+intermit. Ao. clamp法に比べて有意に優れているとはいえなかった. (3)高度低体温下のCP+TC法では最も安定した心筋保護効果と臨床成績の改善が得られた. |
