Authors : |
北村昌也, 中野清治, 今村栄三郎, 橋本明政, 林久恵, 小柳仁, 山口いづみ*, 青崎正彦*, 広沢弘七郎* |
Abstract : |
1966年1月から1982年12月までの17年間に施行した大動脈弁と僧帽弁の二弁置換術237例の遠隔成績を検討した. 方法はactuarial methodを用い, 全期間を使用弁及び心筋保護法の変遷に着目しIII期に分けた. I期(1966~71年)はStarr-Edwards弁, SAM弁, Kay-Shiley弁が使用され, II期(1972~76年)からIII期(1977~82年)の前半にかけてBjork-Shiley弁が主流となり, 1975~79年に主に僧帽弁位でHancock弁などの生体弁が使われたが, 1979年以降はSt. Jude Medical(SJM)弁が主流となった. 全期間の早期死亡(術後30日以内)は32例(13.5%)であったが, 心筋保護法導入後(III期)は早期死亡率6.3%となった. 遠隔死亡は27例で, 心不全12例, 血栓塞栓症5例, 突然死4例, 感染症4例, 肝不全2例であった. 手術死亡を除いたactuarial survivalは, 術後8年で85%であった. 遠隔成績を左右する因子として, 使用弁の性能, 術後早期からの綿密な抗凝固療法及び適切な心筋保護法があげられた. 遠隔期における血栓塞栓症は19例(うち致死的なもの5例)にみられ, 発生率は2.4%/patient yearで, free proportion(非血栓塞栓症率)で表すと9年80%であった. 再弁置換は8例に施行され, 僧帽弁置換5例, 再大動脈弁置換2例, 再二弁置換1例で, 再弁置換率は1.0%/patient yearであり, free proportion(非再弁置換率)では10年90%であった. |