アブストラクト(33巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 女性における冠動脈外科手術
Subtitle : 原著
Authors : 砂盛誠, 岡村高雄, 鈴木敏文, 松永裕司, 坂本徹, 鈴木章夫
Authors(kana) :
Organization : 東京医科歯科大学医学部胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 9
Page : 1336-1339
Year/Month : 1985 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 女性における冠動脈外科手術は, 男性のそれに比べ頻度が少ないものの, 閉経後の動脈硬化はむしろ増悪することがあり, 冠動脈病変はビマン性で, 冠動脈径は一般に細く, これらの因子が関係し, 女性における冠血行再建術の成績は, 一般には男性に劣り, 特に, 遠隔成績は不良とされている. 我々は, 女性における冠動脈外科手術24例(全体の約5%)を経験し, 手術成績を検討したので報告する. 対象患者の平均年齢は, 49.7±2.3歳, 術前左室駆出率は68.1±2.6%, 左室拡張終末圧は, 11.9±0.8mmHgと左室機能の良好な症例であった. 冠動脈左主幹枝病変が38%を占めるものの, 不安定狭心症は12.5%で, 男性における臨床像とやや異なる. 大動脈炎症候群3例, 心房中隔欠損や弁膜疾患などの冠動脈以外の心疾患を合併した8例を経験した. 手術死亡, 病院死は, いずれも0であった. Perioperative myocardial infarctionの頻度は, 心電図上new Q波の出現した1例と, 術後cardiac pump failureのため大動脈内バルーンポンプを使用した2例を合わせて12.5%の頻度であった. 術後急性期の心血行動態の推移は, 男性例と比較し, 術後6, 10, 24時間目で有意差はなかった. 冠動脈吻合部で計測された冠動脈内腔の直径は, 右冠動脈, 前下行枝, 回施枝ともに男女間の有意差を認めなかった. 男性における冠動脈外科手術とほぼ同一の適応でなされた女性における冠動脈外科手術は, 男性の手術成績と同一で良好であった. しかし, 対象患者の平均年齢がやや若年であること, 動脈硬化性冠疾患のみを対象としていないところから, 遠隔成績の取り扱いは今後, 慎重に対処する必要があると考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 女性の冠動脈外科, 冠血行再建術, 冠動脈径
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