アブストラクト(33巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 解離性胸腹部大動脈瘤に対する瘤完全空置術の1例 ―特に脊髄障害についての考察―
Subtitle : 原著
Authors : 岡良積, 宮本巍, 村田紘崇, 大橋博和*, 山下克彦, 小浜正博
Authors(kana) :
Organization : 兵庫医科大学胸部外科, *福井循環器病院外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 9
Page : 1340-1345
Year/Month : 1985 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 症例はDeBakey IIIb型の胸腹部解離性大動脈瘤を有する50歳の男性. 手術は上行大動脈より両側の外腸骨動脈にextra-anatomic bypassを置き, 両側の総腸骨動脈を遮断. その後グラフトに左鎖骨下動脈, 腹腔動脈, 上下腸間膜動脈, 左右腎動脈の各分枝を再建し, 左総頸動脈の分岐部直下で胸部大動脈を遮断して胸腹部の解離性大動脈瘤を完全に空置した. 空置瘤内圧/平均体血圧は63/95mmHgで, 術中モニターしていた体性感覚誘発電位(SEP)にも変化はみられなかった. しかし動脈瘤空置12時間後よりSEPの低下がみられ, 24時間後にはSEPが消失して対麻痺を発生した. このような胸部あるいは胸腹部大動脈瘤の空置術式においては, 術中のSEP及び空置瘤内圧からでは術後の脊髄障害の発生を予測できない症例があることを示すとともに, 動脈瘤空置術式における脊髄障害について考察を加えた. 胸部から腹部に及ぶ広範囲な解離性大動脈瘤においては, 病変部をすべて人工血管で置換することは, 手術侵襲が過大となり危険性を伴いやすい.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 大動脈瘤空置術, extra-anatomic bypass術, 脊髄障害, 体性感覚誘発電位(SEP), DeBakey IIIb型解離性大動脈瘤
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