Abstract : |
症例は54歳, 男性. 貧血にて発症. PRCAを合併した胸腺腫と診断. 胸腺腫摘出術(右葉切除)を施行. 病理組織学的に悪性所見あり(被膜浸潤), 術後Linac 4,600rads照射. 術後3ヵ月よりステロイド治療に反応して貧血の改善みられるも, 術後10ヵ月脳内出血にて死亡. 自験例を含めたPRCA合併胸腺腫の本邦報告例は112例みられる(悪性は13例). 男女比は男54例, 女55例, 不明3例. 発症時年齢は男女とも57歳. 組織型は上皮細胞型(紡錘型)31例(28例), 混合型29例, リンパ球型10例, 不明42例と外国報告例と比べて紡錘型が少ない. 手術(胸腺腫摘出術)にステロイド投与などを加えたものは自験例を含めて61例中38例, 62.3%に貧血の改善が認められている. 手術術式に関しては胸腺部分切除のみでPRCAの改善は十分みられ, 胸腺全摘は必ずしも必要ではないと考えられる. 胸腺腫は重症筋無力症(Myasthenia Gravis, 以下M.G. と略す), 純赤芽球性貧血(Pure Red Cell Aplasia, 以下PRCAと略す), 低γ-グロブリン血症, Cushing症候群など多彩な合併症を有することで知られている. |