Abstract : |
SLL型修正大血管転位症, 心室中隔欠損(VSD), 高度肺高血圧, 1度完全房室ブロックを伴った症例に対して, deLeval変法にて, VSD閉鎖術を試み症状の改善を得た. 本法は冷却液冠灌流による心筋保護下で十分な心筋の弛緩が得られ, 右房を切開し, 僧帽弁を介してVSD全周の十分な露見が可能であった. VSD閉鎖は結節縫合にて行い, 縫合糸はすべて解剖学的右室側から, 辺縁より3~5mm離して掛け, VSDの下縁部は一部三尖弁中隔尖基部を利用した. 結紮糸はすべて静脈側心室に残した. 術後の左心室造影でII度の三尖弁逆流を残したが, VSDは完全に閉鎖され, 肺動脈圧も正常に下降し, 術後全経過を通して, 完全房室ブロックの合併, 不整脈の発生もなく良好に経過した. 本法は本症のVSD閉鎖法として試みる術式と考える. 修正大血管転位症(C-TGA)及び1型両大血管右室起始症(1-DORV)に代表される心房-心室錯位(Atrio-Ventricular Discordance, AVD), 及び心室-大血管錯位(Ventriculo-Arterial-Discordance, VAD)を伴う疾患は高頻度に心内奇型を合併しており1)2), 外科治療上に問題点を有している. |