Abstract : |
乳幼児期の総動脈幹症に対するRastelli氏手術の成績はいまだ満足し難いものであり, 特にその手術適応, 手術時期などについて多くの検討の余地が残されている. 最近教室において, 進行する心不全と高肺血管抵抗を有する総動脈幹症I型の11ヵ月の女児に対し, 16mmのHancock valved conduitを用いた根治手術を行った. 手術時体重は4,700gm. 術前の心臓カテーテル検査ではQp/Qs=1.08, Rp/Rs=0,715, Pp/Ps=0.86と高肺血管抵抗を示した. 術後の圧測定ではRV/LV比=0.51, 肺動脈圧は35/12(19)mmHgとよく低下したものの, 術後左側無気肺が持続, 長期呼吸管理を要し, 術後4ヵ月目に栄養管理のための中心静脈ルートからの感染によると思われるfungal sepsisで失った. この症例をもとに, 本症の手術時期及び術後管理の問題点につき検討を加えた. 総動脈幹症(truncus arteriosus)に対する外科治療はRastelli氏手術1)の導入以来今日まで多くの発展がみられ, 根治手術成績も向上してきている. |