アブストラクト(33巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心嚢合併sleeve pneumonectomy後に発症した心臓脱の1例
Subtitle : 症例
Authors : 三谷惟章, 徳重正弘, 山王邦博, 下高原哲朗, 加治佐隆, 西満正*
Authors(kana) :
Organization : 鹿児島大学医学部第1外科, *癌研究会附属病院外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 9
Page : 1374-1379
Year/Month : 1985 / 9
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 肺手術後の心臓脱はまれであるが, 早急な外科治療が行われない限り救命困難な合併症の1つとして知られている. 著者らは59歳, 男性の右肺扁平上皮癌患者にsleeve pneumonectomyと心膜合併切除を行い心膜欠損部を直接縫合閉鎖したが, 1時間後にショック症状と血胸が発現した症例を経験した. 再開胸の結果, 心臓脱と肺動脈小損傷を認め, 壁側胸膜によるパッチ閉鎖で心膜修復を行って治癒せしめた. 著者らが渉猟し得た41例(外国37例, 本邦4例)の文献報告集計では, 26例が再手術により回復, 15例は死亡している. 死亡例は誤診による外科的治療非施行例や再手術例でも心筋障害から回復しなかった例などで心臓脱の診断の遅れが主因である. 現在ではショック症状にCVP上昇を伴うなどの臨床所見や心臓の位置異常などのX線所見によれば診断は比較的容易である. 予防法としては強力な補填材料による心膜欠損部の確実な閉鎖が重要である. 肺癌の手術適応は合併切除や気管・気管支形成術などの進歩によって一層拡大されている.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心臓脱, 心膜合併切除, 原発性肺癌, sleeve pneumonectomy
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