Abstract : |
Dubin-Johnson syndromeを合併した心疾患に対する人工心肺使用下の開心術は極めて少ない. 慢性非溶血性抱合型ビリルビン血症を伴う黄疸を示す本症では, 肝障害を伴う黄疸との鑑別に, 肝生検を含む確実な術前診断が重要である. 本症を伴った33歳女性の心房中隔欠損症の人工心肺使用による開心根治術を行い術後肝不全の併発もなく治癒した. 術前の総ビリルビン平均値は2.3mg/dlであった. 術後の総ビリルビン値は, 7日目に最高値12.2mg/dl, 直接ビリルビン5.1mg/dlに達し, 術後28日にほぼ術前値に低下した. SGOTは術直後に一過性に増加したが, 通常開心術例と同様に3日目に正常値に復し, SGPTは正常で, 術後高ビリルビン血症以外に肝障害はなかった. 黄疸を合併する患者の外科治療は, 術中・術後の肝障害を増悪し, 肝不全の発生は致命的となる1). 従って, 術後の肝機能の精査と黄疸の有無は手術決定に重要な要因である. Dubin-Johnson Syndrome(DJS)は慢性的, または間欠的黄疸を伴う高ビリルビン血症を特徴としている2)3). |