Abstract : |
新生児の異常動脈を伴わない肺葉内肺分画症例を経験したので報告した. 症例は生後0日, 生下時体重2,854gの男児で, 出生直後より右側呼吸音の低下を認め, 胸部レ線にて右横隔膜弛緩症を疑ったが, レ線経過で右肺肝境界が明瞭となり, 右胸腔内に腫瘤状陰影を認め, 縦隔腫瘍の診断で生後22日目に右下葉切除を施行した. 異常動脈は存在しなかったが, 病理組織学的に肺葉内肺分画症と診断された. 新生児期の肺分画症はまれである. また, 異常動脈を伴わない肺分画症の報告は本邦では本例が3例目とまれな症例であり, 詳細を報告するとともに, 本邦1歳未満肺分画症例について文献的に考察した. 肺分画症は, 1777年Huber1)が2歳女児の1剖検例を報告したのが最初で, 1946年Pryce2)により命名された. 肺分画症は, その特異な病態により多くの報告をみるが本症が先天性の肺形成異常と考えられるにもかかわらず, 新生児, 乳児期に発見されることはまれである. 今回我々は, 出生直後より経過を追って観察し得た異常動脈を伴わない新生児肺分画症例を経験したので, 本邦1歳未満肺分画症の文献的検討を併せ報告する. |