Abstract : |
今回, 我々は, 単心室症例4例に対して, 房室弁及び肺動脈弁を閉鎖し, 右房-肺動脈を吻合するmodified Fontan手術を施行し, 全例を救命し得, 症状の改善と良好な心機能が得られたので報告した. 症例は, 手術時年齢11~29歳(平均22.3), Van Praaph分類, A型2例, B型1例, C型1例で, 肺動脈狭窄を伴うIII型であった. 1例は中等度肺高血圧を伴い, 2例は前回, 姑息的手術を受けていた. 手術は中等度低体温法下に心停止液併用心筋保護法及び局所心筋冷却を用いた. 房室弁閉鎖は三尖弁はダクロン布を用い, 二尖弁は直接縫合閉鎖した. 肺動脈弁は全例直接閉鎖し, 右房-肺動脈の吻合は, 後壁は直接吻合し, 前壁は自己心膜(小児例)とRygg心膜(成人例)を用い, 吻合口の直径を22~24mmに開大した. 1例に心房中隔二次口の閉鎖をダクロン布を用い行った. 術後経過は, 症例1及び4で右心不全徴候を認めたが, 腎不全, 房室ブロックの発生は認められなかった. 心胸郭比は, 術前52%より術後58%とやや増大し, 心電図は術後全例洞調律を示した. 術後の心カテーテル検査所見では, 右房a波の増大, 肺動脈平均圧並びに, 左室終末拡張期圧の低下, 動脈血酸素飽和度の上昇を認めた. また, 心拍出量は, 安静時平均4.03±1.58l/分/m2より運動負荷時, 5.18±1.93l/分/m2へと増加を示した. 本症に対するmodified Fontan手術は症状改善と良好な運動能力の増加が得られる優れた術式と考える. |