アブストラクト(33巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 冠動脈瘻の外科治療
Subtitle : 原著
Authors : 川筋道雄, 遠藤将光, 辻口大, 青山剛和, 麻柄達夫, 飯田茂穂, 大平政人, 関雅博, 岩喬
Authors(kana) :
Organization : 金沢大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 10
Page : 1924-1930
Year/Month : 1985 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 我々は10年間に冠動脈瘻患者17例に対して外科治療を行った. その内訳は冠動脈肺動脈瘻が12例, 冠動脈右房瘻が2例, 冠動脈左房瘻が1例, 冠動脈左室瘻が1例, 冠動脈気管支動脈瘻が1例であった. 起始冠動脈は左冠動脈が13例, 右冠動脈が2例, 両側冠動脈が2例であった. 合併疾患は僧帽弁狭窄が1例, 僧帽弁閉鎖不全が1例, 部分肺静脈還流異常が1例, 心房中隔欠損が1例, 大動脈炎症候群が1例であった. 冠動脈硬化性狭窄は1例も認めなかった. 冠動脈瘻由来と考えられる心雑音は9例(53%)に認めた. 20歳以上の14例では全例になんらかの症状を認めたが, 年少者の3例は無症状であった. 手術は冠動脈肺動脈瘻の初期の3例, 冠動脈左室瘻の1例, 冠動脈気管支動脈瘻の1例では体外循環を使用せず冠動脈瘻の選択的結紮を行った. このうち瘻が広範な叢を形成した冠動脈肺動脈瘻の1例に血管造影上少量の短絡遺残をみた. 冠動脈肺動脈瘻の後期9例, 冠動脈右房瘻の2例, 冠動脈左房瘻の1例では冠動脈瘻の選択的結紮とともに体外循環下の開口部閉鎖を行った. 更に合併疾患の治療を行った. 17例全例で心筋梗塞の発生をみず, 良好な結果を得た. 冠動脈瘻の根治のためには本来の冠動脈血流を確保しつつ瘻孔の血流を遮断することが原則であり, 瘻の選択的結紮とともに体外循環下に開口部を確実に閉鎖することが必要である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 冠動脈瘻, 冠動脈肺動脈瘻, 冠動脈心腔瘻, 冠動脈気管支動脈瘻, 冠動脈の手術
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