Abstract : |
心臓外科11例及び末梢血管外科463例において, 高周波数を用いたreal-time B-mode法による術中超音波検査(ou)を施行し, 血行再建部合計883個所を走査した. 末梢血管では主として血行再建部に生じたintimal flaps, 血栓や狭窄などのvascular defectsを検出する目的でouを行ったが, その結果145例(31.3%)においてvascular defectsが認められた. これらのうち99例のdefectsは, その性状や大きさ, 存在部位から臨床的に重要でないと判断し処置を行わなかった. これに対して, 残りの46例(全体の9.9%)でのvascular defectsは, 放置すると術後閉塞の原因となると推測される臨床的に重要なdefectsと考え, 直ちに血管再切開後修復した. 次に, 血行再建部191個所においてvascular defects検出に対するouと術中血管造影の正確度を比較検討した結果, sensitivity, specificity, efficiency, predictability of a negative testは両検査法とも90%以上の高値を示した. 一方, predictability of a positive testでは術中血管造影の71.4%に対して, ouはより良い成績(86.2%)であった. 以上の結果に加えて, その安全性と手技が比較的簡単であることを考慮すると, ouは血行再建後のvascular defects検出のための術中スクリーニング法として第一に選択されるべきであろう. 心臓外科に際しては, 冠動脈の狭窄部位とその程度の検査, 及び冠動脈バイパス術後のvascular defectsの検出のためにouが有益であると考えられた. 今後は, 装置の改善とコントラスト注入などの新しい技術の導入とあいまって, より広範囲な心臓手術にouの適応が広まることが期待される. |