Abstract : |
1)僧帽弁狭窄症(MS)に合併した軽度の大動脈弁病変(A)が連合弁膜症の病態にいかに関与するかを明らかにするために, Aを合併したMS 9例(MS+A群)に運動負荷時における血行動態の検索を行い, Aを合併しないMS 9例(MS群)を対照とし比較検討を行った. 2)安静時においては肺動脈平均圧(PAm), 左房平均圧(LAm)は両群間に差を認めなかったが, 運動負荷時ではMS+A群のPAm, LAmはMS群に比し有意(各々p<0.01, p<0.02)に高値を示した. 3)安静時並びに運動負荷時において, 肺血管抵抗(PVR), 僧帽弁弁口面積(MVA)は, 両群間に差を認めなかった. 4)安静時においては左室拡張末期圧(LVEDP)は両群間に差を認めなかったが, 運動負荷時においてはMS+A群のLVEDPはMS群に比し有意(p<0.02)に高値であった. 5)左室コンプライアンスの指標として求めたΔV/ΔPは, 安静時においては両群間に差を認めなかったが, 運動負荷時ではMS+A群がMS群に比し有意(p<0.02)に低値であった. 6)MS+A群の左室壁厚は, MS群に比し有意(p<0.005)に高値であった. 7)以上より副病変としてAを合併したMSでは, Aのために左室壁厚は増大し, これがために運動負荷時においてΔV/ΔPの低下, LVEDPの上昇, 更にはLAm, PAmの一層の上昇を示すと考えられた. |