Abstract : |
解離性大動脈瘤15例に手術治療を行った. その病型分類は, DeBakey I型2例, II型2例, III型11例(IIIa 2例, IIIb 9例)で, 性別は男性11例, 女性4例と男性に多く, 年齢は27~65歳, 平均47歳であった. 手術時期は3例が発症2週以内の急性期, 4例が2週から3ヵ月まで亜急性期, 8例が慢性期であった. 手術法はI型の2例にはリング付グラフト内没法を行い, II型の2例と胸腹部大動脈置換術を行ったIIIb型の1例を除いたIII型の10例には胸腔内人工血管置換術を行った, II型の2例はともに大動脈弁閉鎖不全をSellers III~IV度合併していたのでBentall手術を行った. 手術成績は, 急性期IIIb 2例, 亜急性期1例, 慢性期IIIa 1例及びII型の1例の計5例を失い, 死亡率33%である. 胸腹部大動脈置換の1例には補助手段は用いなかったが, 他の14例には手術補助手段として体外循環法を9例に, 一時的バイパス法を5例に用いた. 術後1年から11年まで経過した9症例には遠隔死亡はなく経過良好である. 腎動脈起始部近くから解離が発生する特殊なIIIb型には胸腔内の人工血管置換術は, 解離発生部位が切除されず残ってしまうため, 手術の目的は達せられず, 適応となり難い. 同様に, extraanatomic bypass法も適応となり難いと考えられる. このような症例には腹部主要4分枝の再建を含む胸腹部大動脈置換術が適応となり得る. |