Abstract : |
気管支カルチノイドは, slow growing, low malignant potentialの腫瘍として知られているが, 今回我々は, 約10年の経過で右中間気管支幹のカルチノイドが, 右下葉内へ多数の転移巣を形成した症例を経験した. このような転移の報告は, 探し得た文献には認められず非常にまれと思われる. 転移様式は定かではないが, 血液のbronchial-pulmonary shuntを通じての転移が最も考えられる. この症例は他に肝転移も認められ, 右中下葉切除後に肝動脈塞栓術を行ったところ, 腫瘍の壊死所見と血中セロトニン値, 尿中5HIAA値の著明な低下を来した. この方法はこの腫瘍の肝転移巣をコントロールするのに有効と思われる. 気管支カルチノイドは, slow growing, low malignant potentialの性格を持つことが広く知られている. 今回我々は, 約10年の経過を持ち, その間に末梢の下葉に多数の転移を来した気管支カルチノイドの1例を経験し, 非常にまれな進展と考えるので報告する. また肝転移も生じており, これに対し肝動脈塞栓術を行い有効と考えられたので合わせ報告する. |