Abstract : |
Polypoid typeの左房浸潤を伴う肺癌3例に対し左房合併切除を行った. 第1例は術前左房浸潤の把握が不十分のまま鉗子下切除を行い, 術中の左房内腫瘍脱落による脳塞栓を来し不幸な転帰となった. 第2, 3例は術前の左房造影, CTにて本タイプの左房浸潤が診断された. 術中の腫瘍の脱落・塞栓の危険を避けるため, 左房操作時に体外循環を使用し, 心停止下に, 腫瘍を直視しながら左房合併切除を行い良好な結果であった. 第2例は2年3月で脳転移にて死亡, 第3例は1年3月経過し, 再発なく健在である. 本タイプの左房浸潤例に対しては, 術中の腫瘍の脱落・塞栓の危険を考えれば, その安全性, 確実性の故に, 体外循環使用下での左房合併切除が必須であると考える. そのためにも, 術前に画像診断を駆使して左房浸潤状態の把握に努めることが重要である. 肺癌の左房浸潤形態は, 肺静脈に沿って進展してゆくものが大部分である. この場合, 左房筋層内を直接浸潤して進展してゆく場合と, 肺静脈基部から左房腔内にポリープ状に突出して発育する場合があるが, 後者は比較的頻度が少ないと言われている1). |