アブストラクト(33巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環終了時糖脂質代謝抑制の統計学的検討 ―三次元グラフ法を用いて―
Subtitle : 原著
Authors : 松倉裕美, 立木利一*, 竹田治土*, 合田俊宏*, 酒井圭輔*, 田辺達三*, 村松宰**
Authors(kana) :
Organization : 旭川赤十字病院心臓血管外科, *北海道大学医学部第2外科, **北海道大学医療短期大学部
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 11
Page : 2043-2051
Year/Month : 1985 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 体外循環終了時の糖脂質代謝と体外循環状況の関係を, 統計学的手法である二次応答面モデル式とコンピューターグラフィック解析法で検討した. 体外循環状況を示す各要因は正規分布を示したが, 糖脂質代謝を示す測定値は正規分布を示さず, 相関係数法及びこれに基づく主成分分析法は有効な検討法とは言えなかった. そこで線形関係と曲線関係をともに検討し得る二次応答面モデル式と三次元グラフの作成を行った. 本法は従来の二次元グラフの観察に比べて情報量の増加が得られ, 且つ視覚化して検討できる有効な検討法であった. 検討の結果次の結論が得られた. 1)血糖値は体外循環時間の影響が最も大きく, 低体温による上昇もみられた. しかし灌流条件の関与は少なく, また解糖系の亢進を越えた高希釈により血糖値の上昇は限界があることを示した. 2)インシュリン値は測定法上の限界があり正確な抑制の程度を示さず, インシュリン/血糖比はインシュリンの変動により決定される要素が大きかった. 従って, インシュリン/血糖比よりはC-ペプタイド/血糖比が糖代謝抑制を示す良い指標になると思われた. 3)C-ペプタイドは体外循環初期に抑制され, 時間の経過とともに体外循環中から回復傾向を示した. これらのことから軽度低体温にとどめ高灌流圧で灌流すると, 糖代謝は早期の回復を示すと思われた. 4)遊離脂肪酸は低体温の程度により二相性に反応し, 反応性増加には限界がみられた. また高度希釈も増加抑制をもたらした. 5)体外循環の安全性を高めるためには, 短時間体外循環に努めるとともに至適低体温の選択と装置の小型化が有効と考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 体外循環, 糖代謝, 主成分分析法, 二次応答面モデル式, 三次元グラフ
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