アブストラクト(33巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術後早期の免疫動態の研究 ―モノクローナル抗体を用いてのリンパ球亜群の解析を中心に―
Subtitle : 原著
Authors : 富樫賢一, 中込正昭, 江口昭治, 青木定夫*, 田中いずみ*, 品田章二*
Authors(kana) :
Organization : 新潟大学医学部第2外科, *新潟大学医学部輸血部
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 11
Page : 2052-2058
Year/Month : 1985 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術群10例(A群)と, 非開心術群4例(B群)との術後早期の免疫動態を比較検討した. 術前及び第1, 第3, 第7病日に採血し, 免疫グロブリン(IgG, IgA, IgM)濃度, 補体(C3, C4, C3act)値を一元免疫拡散法で, リンパ球亜群をモノクローナル抗体を用いた蛍光抗体法で測定した. 免疫グロブリン濃度は両群ともすべて正常値範囲内で変動した. また両群とも, 術前値と比較するとC3, C4値は第1病日に有意の低下を, C3act値は第3, 第7病日に有意の上昇を認めた(p<0.01). このことは術後早期の補体活性の増強を示していると考えられる. リンパ球及びその亜群の解析では, A群でリンパ球/白血球比及びT細胞/B細胞比が術後1週間, 術前に比較し有意に低下していた(p<0.01). B群ではこれらの比に有意の変動を認めなかった. また一方helper T細胞(TH/I)/suppressor T細胞(TS/C)比は両群ともに術後も有意の変動が認められなかった. これらの結果より開心術後は非開心術後に比較して, helper T細胞, suppressor T細胞ともに著減しており, T細胞著減による細胞性免疫能低下状態にあると考えられる. 従ってこの時期, 特に第3病日までは, 積極的な感染予防策が必要であるとおもわれる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 開心術後早期, 免疫動態, モノクローナル抗体, リンパ球亜群解析
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