Abstract : |
開心術群10例(A群)と, 非開心術群4例(B群)との術後早期の免疫動態を比較検討した. 術前及び第1, 第3, 第7病日に採血し, 免疫グロブリン(IgG, IgA, IgM)濃度, 補体(C3, C4, C3act)値を一元免疫拡散法で, リンパ球亜群をモノクローナル抗体を用いた蛍光抗体法で測定した. 免疫グロブリン濃度は両群ともすべて正常値範囲内で変動した. また両群とも, 術前値と比較するとC3, C4値は第1病日に有意の低下を, C3act値は第3, 第7病日に有意の上昇を認めた(p<0.01). このことは術後早期の補体活性の増強を示していると考えられる. リンパ球及びその亜群の解析では, A群でリンパ球/白血球比及びT細胞/B細胞比が術後1週間, 術前に比較し有意に低下していた(p<0.01). B群ではこれらの比に有意の変動を認めなかった. また一方helper T細胞(TH/I)/suppressor T細胞(TS/C)比は両群ともに術後も有意の変動が認められなかった. これらの結果より開心術後は非開心術後に比較して, helper T細胞, suppressor T細胞ともに著減しており, T細胞著減による細胞性免疫能低下状態にあると考えられる. 従ってこの時期, 特に第3病日までは, 積極的な感染予防策が必要であるとおもわれる. |