アブストラクト(33巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : マルファン症候群の心血管系病変に対する外科治療とその問題点
Subtitle : 原著
Authors : 数井暉久, 山本直樹, 菊池洋一, 山田修, 佐々木孝, 小松作蔵
Authors(kana) :
Organization : 札幌医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 11
Page : 2088-2094
Year/Month : 1985 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : マルファン症候群の心血管系病変に対する外科治療の成績を検討し, 併せて遠隔予後よりみた外科治療上の問題点について検討した. 昭和59年10月末までに経験した本症候群35例のうち23例に外科治療を施行した. 心血管系病変の内訳はannuloaortic ectasia(AAE)が19例(82.6%)と最も多く, このうち解離性大動脈瘤I型4例, II型3例, III型4例, 腹部大動脈瘤1例, 腸骨動脈瘤1例を合併していた. その他の病変として僧帽弁閉鎖不全2例, 腹部大動脈瘤1例, 解離性大動脈瘤III型1例であった. 手術手技としてAAEには初期の症例を除くとBentall術, 僧帽弁逆流には僧帽弁置換術, 動脈瘤には瘤内人工血管置換術を用いた. 手術成績は早期死4例(17.4%)であるが, 昭和53年以降の12例では早期死は認めなかった. 手術生存19例の最長8.7年, 平均3.4年の遠隔追跡では晩期死6例であった. また末梢側解離腔残存, 拡大2例, 初回手術以外の病変の進展3例, ARの再発1例の計6例に再手術を施行し, 1例の病院死をみた. マルファン症候群の予後は合併する心血管系病変に左右されることから, 最近の手術成績の向上からみても積極的に外科治療を施行すべきである. なお, 本症候群の心血管系病変は全身性, 且つ進行性病変であることから, 初回手術部以外に新たな病変の進展, 晩期吻合不全, 末梢側解離腔の残存など種々の問題点を有しており, 全身的な心血管系病変の検索に加えて術後長期にわたる経過観察が必要である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : マルファン症候群, annuloaortic ectasia, 解離性大動脈瘤, Bentall術, 心血管系病変
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