アブストラクト(33巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : St. Jude Medical弁による僧帽弁置換術の臨床的検討
Subtitle : 原著
Authors : 磯村正, 楊井剛, 青柳成明, 赤川治夫, 久富光一, 小須賀健一, 大石喜六, 古賀道弘
Authors(kana) :
Organization : 久留米大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 11
Page : 2102-2108
Year/Month : 1985 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1980年5月から1984年4月までの間にSt. Jude Medical valve prosthesis(SJM弁)を用い僧帽弁置換術(MVR)を施行した181例の臨床成績を検討した. 年齢は8歳から69歳でありMVRのみを施行した症例は64例で, 他はMVR以外の附加手術を必要とした. 早期死亡は13例, 晩期死亡は2例で, 術後抗凝固療法を全例に施行し, 術後の血栓形成例はなく, prosthetic valve endocarditisもみられていない. しかし, 早期死亡の2例, 晩期死亡の2例に強い溶血を認め, このうちparavalvular leakは1例のみであったが, これらは重症例であり溶血に関しては種々の要因が考えられた. 更に生存例の術後のfollow up時の検査では血清LDHの軽度の上昇をみるのみで, 臨床的に問題となる溶血はなく, SJM弁自体が主要因となるものとは考え難かった. MVR施行後, 肺動脈圧, 左房圧の有意の低下を認め各弁サイズとも良好な圧の改善をみた. 術後最長生存例は既に4年を経過し, 術後6ヵ月以上経た131例のfollow upでは89.3%のNYHAによる症状の改善を認めた. SJM弁は他の人工弁に比し, 血栓形成傾向が少ないとされているが, 術後の抗凝固療法は適確に行われるべきと思われ, 弁のdurabilityに関しては更に長期のfollow upが必要であるが, 現在までに弁不全の発生はなく, 現時点では特殊症例を除きmitral postitionにおける第一選択弁として使用可能であると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : the St. Jude Medical prosthetic valve(SJM弁), 僧帽弁置換術(MVR), 臨床成績, durability
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