アブストラクト(33巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 阻血心再灌流時における冠動静脈血中prostacyclin, thromboxane A2の変動及び冠循環との関連性に関する実験的検討
Subtitle : 原著
Authors : 野村文一, 川島康生
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 11
Page : 2109-2117
Year/Month : 1985 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : Global ischemia後再灌流時における冠動静脈血中の6 keto PGF1α, TxB2濃度を測定し, PGI2, TxA2の変動とそれらの冠循環動態に及ぼす影響を犬摘出心を用いて実験的に検討した. 雑種成犬20頭を, 常温群(G-I, n=9)低温群(G-II, n=11)に分け, それぞれ60分の37℃温阻血, 及び120分の15℃低温阻血を経て, 供血犬を用いた交叉循環法にて再灌流した. 1)6 keto PGF1αは再灌流後両群においてその流出がみられ, 流出量(pg/g. dwt. min)は, G-Iでは1分後4,202±1,472であり, 20分までコントロールに比し高値であった. G-IIでは, 1分後1,504±1,245で, 20分ではコントロールと差を認めなくなった. 両群を比較すると, G-Iで, 10分まで有意に(p<0.01)高値を示した. 2)再灌流時にTxB2は, コントロールに比べG-Iでは10分まで, G-IIでは5分まで有意の流出がみられたが, 両群間に差はなかった. 3)再灌流時のTxB2/6 keto PGF1α比は, 両群とも1以下と低値から漸増し, G-Iでは20分まで, G-IIでは5分までコントロールより低値であった. 4)冠静脈洞血流量は, G-IではCS血中TxB2濃度とr=-0.36, p<0.05の負の相関を認め, G-IIではCS血中TxB2濃度及びTxB2/6 keto PGF1α比とそれぞれr=-0.70, p<0.001, 及びr=-0.43, p<0.005の負の相関を認めた. 5)冠血管抵抗は, G-IIにおいてのみCS血中TxB2濃度及びTxB2/6 keto PGF1α比とそれぞれr=0.51, p<0.001, 及びr=0.55, p<0.001の正の相関を認めた. 以上より, 阻血心再灌流時のプロスタノイドの反応はPGI2優位であり, またTxA2及びPGI2の両者が再灌流時の冠循環動態に関与することが示された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : prostacyclin, thromboxane A2, 阻血心再灌流, 冠循環, プロスタノイド
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