Abstract : |
従来手術困難とされてきた左心低形成症候群に対しNorwood第I期手術を施行し, 良好な結果を得た. 31日男児, prostaglandin E1点滴, BASなどにより新生児期を乗り切り, 体外循環と超低体温下循環停止を併用し, 直視下ASD作成, 肺動脈幹を切断し中枢側と上行弓部大動脈へ端側吻合. 更にEPTFE graftによる体肺短絡を作成した. 患者は術後160日でいったん退院し, 現在外来で第II期機能的根治術を待期中である. なおNorwood第I期手術の生存例は本邦第1例と思われる. 大動脈弁閉鎖症, 僧帽弁狭窄, 又は閉鎖症を伴う高度の左心室, 上行大動脈低形成例, すなわち左心低形成症候群hypoplastic left heart syndrome以下HLHSは自然予後が極めて悪く, また従来手術対象からも除外された先天性心疾患であったが, 近年Norwoodらが主肺動脈を体循環流出路とする手術法を発表して以来, 外科手術可能な疾患として注目されてきている. 著者らは生後31日男児例に対し, Norwood第I期手術を行い, 良好な経過でいったん退院させることができたので報告する. |