Abstract : |
九州がんセンター呼吸器部において昭和47年より, 12年間に転移性腫瘍の手術を行った34例の予後を分析し, 手術適応について検討したので報告する. 開胸術を再発を含め47回施行し, 術後補助療法は23例に施行した. 全体の3年及び5年生存率は40%で, 原発巣の種類別に予後をみると, 癌腫21例と肉腫13例の5年生存率はそれぞれ41%及び40%であった. 病巣の数では単発例11例と多発例23例の5年生存率はそれぞれ30%と46%で多発例の予後が良好にみえたが有意差は認めなかった. 原発巣の手術から転移巣出現までの期間DFI(disease-free interval)が1年以上の21例の5年生存率は46%で1年未満の13例の5年生存率29%に比べ有意の差はないものの予後が良好な傾向がみられた. 4年以上の長期生存例が9例存在し, これらの内訳は, 肉腫4例, 癌腫5例で, 6例が多発例であり, このうち2例には2回以上の開胸術を行った. また, DFIは9例中6例が1年以上の症例で, 化学療法は9例中8例に行われた. 以上により, 転移性肺腫瘍の治療は両側肺多発例や再発例も含め積極的に外科療法を考慮すべきであると考えられた. |