アブストラクト(33巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 進行肺癌に対する拡大手術とその成績
Subtitle : 原著
Authors : 坪田紀明*, 石井昇, 山下長司郎, 良河光一, 青垣内龍太, 中村和夫
Authors(kana) :
Organization : 神戸大学医学部第2外科, *兵庫県成人病センター
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 12
Page : 2170-2175
Year/Month : 1985 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1984年4月末までの4年間に切除された原発性肺癌160例のうち, 他臓器の合併切除が行われた26例に考察を加えた. なお, この拡大手術による死亡は, 手術死, 病院死ともになかった. SVCの部分合併切除は5例に行われ, うち1例は4分間の完全遮断を要した. その間CVPは45cm H2Oに上昇したが, 術後に異常を認めなかった. 気管分岐部の切除, 形成術は6例に行われた. 形成術施行に際しJet Ventilationによる換気と1~2針の気道内結紮は吻合術を極めて容易にし, 術中, 術後に問題はなく, 吻合部狭窄も起こらなかった. 両心房の合併切除を鉗子による直接遮断で行うと鉗子の間から心房中隔がづり落ちて危険である. 従って, 人工心肺の使用が必要となる. パンコースト腫瘍は胸骨正中切開で行われた. 浸潤の及んだ鎖骨, 第1肋骨, 左腕頭静脈の合併切除を要したが, 前方に位置する場合には, このアプローチが好都合であった. 以上のように積極的な外科療法により準治癒切除が可能となった26例の予後は4年以上生存を含む14例が生存中で, 9例が2年未満死, 3例3年未満死となった. 本手術を安全, 且つ有効に実施するには, 手術適応を十分に吟味し, 麻酔方法, アプローチ, 心臓血管外科的手技, 気管, 気管支形成術など, 様々な方法を駆使することが肝要である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 進行肺癌, 気管, 気管支形成術, パンコースト腫瘍, High Frequency Jet Ventilation, 体外循環
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