アブストラクト(33巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺動脈狭窄症術後血行動態の検討
Subtitle : 原著
Authors : 福田幾夫*, 田中一彦, 公文啓二, 内藤泰顕**, 八木原俊克**, 藤田毅**, 神谷哲郎***
Authors(kana) :
Organization : 国立循環器病センターICU, **国立循環器病センター心臓外科, ***国立循環器病センター小児科, *筑波メディカルセンター病院外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 12
Page : 2188-2194
Year/Month : 1985 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心室中隔欠損を合併しない肺動脈狭窄症25例の根治術後急性期の血行動態を術前心機能の面から検討した. 術後中心静脈圧の最高値(CVP)に従い以下の3群に分けて検討した. I群:CVP≧18cm H2O, II群:18>CVP≧13cm H2O, III群:CVP<13cm H2O. 1. %右室拡張末期容積(%RVEDV)はI群で77.2±22.1%(Mean±SD, 以下同様)とIII群の155.8±40.5%に比し有意に小さく(p<0.001), %RVEDVとCVPの間にはy=-5.0x+21.5, γ=-0.579の中等度の負の相間を認めた. 右室駆出率(RVEF)は, I群で53.7±10.3%と, II群65.8±9.8%, III群66.8±6.6%に比し有意に小さかった(p<0.05). 2. 術前の右室・左室収縮期圧比(RVP/LVP)はI群1.20±0.20, II群1.10±0.44, III群0.73±0.14でI群はIII群に比し有意に高値であった(p<0.001). RVP/LVPとCVPの間にはy=5.2X+10.2, γ=0.473の中等度の正の相関を認めた. 3. 30歳以上の年長例及び5歳以下で%RVEDVの小さい症例では, 術後CVPが高値をとるものが多く, カテコラミンを必要とする症例が多かった. 4. 手術々式では右室流出路の一弁付きパッチ拡大を行った症例でCVPの高いものが多く, カテコラミンの使用頻度も高率であった. 肺動脈狭窄症では術前右室後負荷が強く, 右室低形成や肥大のため右室が小さい症例で術後右心不全を来しやすい. このような症例では術中の心筋保護, 右室流出路狭窄の十分な解除に加えて, 術後急性期には, 左房圧及び中心静脈圧の両者を指標とした厳重な循環管理が重要である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺動脈狭窄症, 右心不全, 術後血行動態, 右室低形成, 右室拡張末期容積, 右室・左室収縮期圧比
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