Abstract : |
大動脈内バルーンパンピング(IABP)を施行した7症例について, 心臓超音波検査(断層法及びMモード法)により, 等容収縮期(ICT), 等容拡張期(IRT), 駆出時間, 左房径を測定し, IABPの効果及び限界について検討した. IABPの適応は, 急性心筋梗塞症後の心原性ショック5例, 開心術後の低心拍出量症候群2例であった. 対照として, 18歳から30歳までの健常者15名, 33歳から66歳までの健常者15名及び, 急性心筋梗塞症患者(非心原性ショック症例)15例を選び, 後者では, 発症後3日以内を急性心筋梗塞症群(AMI群)とし, 同一症例において発症後45日から60日経過したものを陳旧性心筋梗塞症群(OMI群)とした. ICTは加齢により, 延長傾向が見られ, AMI群で有意に延長したが, OMI群では短縮し, 健常者群の値に近づいた. IRTは加齢とともに延長し, AMI群で有意に延長したが, ICTと異なり, OMI群でも短縮せず, 依然延長した状態が残存した. 一方, IABPによりICT, IRTともに短縮したが, 結果的にみて開始後12~24時間後に, ICT<60mSec, IRT<85mSecに短縮しなかった症例は, IABPからの離脱が不可能で死亡した. 超音波心断層法, Mモード法は, ベッドサイドで非観血的に繰り返し行えるため, IABPの効果を判定するのに良い手段となる. そして, IABP施行中, ICT, IRTを頻回に測定し, 開始後12~24時間以内にICT<60mSec, IRT<85mSecにならない症例は, より強力な補助循環法への移行が必要であると思われる. |