アブストラクト(34巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 高度肺高血圧症を伴う二次口心房中隔欠損症の肺生検診断による手術適応決定について
Subtitle :
Authors : 八巻重雄, 堀内藤吾, 三浦誠, 柳沼厳弥, 小山田恵*, 乙供通稔**, 田中茂穂***, 加畑治****, 関章*****, 及川佑一郎******
Authors(kana) :
Organization : 東北大学胸部外科, *岩手県立中央病院, **山形県立中央病院, ***青森県立中央病院, ****国立水戸病院, *****市立岡崎病院, ******函館五稜郭病院
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 1
Page : 8-13
Year/Month : 1986 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 高度肺高血圧症を伴う二次口心房中隔欠損症(ASD)で血行動態値だけでは手術適応決定が困難であった12症例に対し開胸肺生検を行い, うち11例に手術適応について組織学的診断を行った. 肺血管病変の種類から手術適応基準を次のように定めた. すなわち, 閉塞性肺血管病変型ではIPVD 2.1以下が手術適応, 肺小動脈血栓型は全例手術適応, 筋弾性線維症型は肺小動脈内腔が完全に閉塞していないものは手術適応とした. また肺小動脈血栓や筋弾性線維症に閉塞性肺血管病変を合併した混合型では叢状病変など高度の不可逆性肺血管病変が明瞭に存在したものは手術不適応とした. 上記の診断基準により6例を手術適応と診断し手術待機中の1例を除く5例にASD閉鎖を行ったが全例術後経過は良好である. 5例を手術不適応と診断, 4例はASDを放置し経過観察中であるが, この中に死亡例はない. 手術不適応と診断した5例中1例は患者の希望によりASD閉鎖を施行したが, 肺血管抵抗の低下がみられないので今後注意深い経過観察が必要と思われる. なお肺生検診断を行った11例の中に肺生検後1~10年経過した現在死亡例がないことから, 上記の組織学的診断期準は妥当であろうと結論された. 血行動態学的には肺動脈収縮期圧70mmHg以上, 肺動脈平均圧44mHg以上, 肺体動脈圧比0.66以上, 肺体血流量比1.33以下, 肺体血管抵抗比0.42以上, 肺血管抵抗8単位以上のどれかに該当する症例はASD閉鎖に問題があり, 肺生検を行って手術の適否を決定すべきであると結論された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : ASDの手術適応, ASDの肺血管病変, 肺生検診断, 肺高血圧症
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