アブストラクト(34巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Cardiac cachexiaを伴った重症弁膜疾患の外科治療とその問題点
Subtitle :
Authors : 数井暉久, 小松作蔵, 佐々木孝, 山田修, 渡辺祝安, 塚本勝, 菊池洋一, 山本直樹
Authors(kana) :
Organization : 札幌医大胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 1
Page : 28-33
Year/Month : 1986 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : Cardiac cachexia(C.C.)を伴った弁膜疾患の外科治療の成績を非C. C群と比較し併せて本症に対する外科治療上の問題点について検討した. 対象は1981年より1984年9月末までに外科治療を施行した弁膜疾患227例のうち標準体重比80%以下の19例である. C.C群の原疾患はいずれも僧帽弁病変を伴っており非C.C.群に比較して年齢, 性別では差を認めないが, 病脳期間, NYHA分類, CTR及び血行動態的指標からみても重症例であり, 且つ肺, 肝及び腎などの他臓器不全の合併頻度は高かった. 外科治療は僧帽弁疾患に対してOMC 5例, MAP 2例, MVR 9例, ReMVRを3例に行い, このうち12例(63%)に他弁膜疾患に対する合併手術を施行した. なお最近の症例に術前, 術後管理として高カロリー輪液, GIK療法を行った. 手術成績は術後1ヵ月以内の早期死が3例(15.8%)で非C.C.群の3.8%に比較して高率であった(p<0.01). また術後合併症としてLOS, 腎不全, 肺不全の合併頻度が高かった. 手術生存例の術後平均1.6年の遠隔追跡では全例自覚症状及び心機能の著明な改善を認めた. C.C.群は一般に病悩期間が長く高度の心筋障害及び多臓器不全を伴う重症僧帽弁疾患であり早期死亡率及び術後合併症の頻度が高かった. しかしながら手術生存例の予後は良好であることから術前, 術後の高カロリー補液, GIK療法による栄養, 代謝の改善, LOSに対するIABPなどの補助循環, 腎不全に対する早期透析, 肝不全に対する血漿交換などにより手術直接成績の向上に努めるべきである.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : cardiac cachexia, 標準体重比, 重症僧帽弁疾患, 高カロリー補液, 多臓器不全
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